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2021.10.06
【油入防爆構造とは】爆発のプロセスから設置場所・注意点まで
化学工場や製造事務所では、日常生活では馴染みのない機械や物質を取り扱います。
中には当然、特殊な性質をもち、使用するにあたって専門的な知識が必要なものも多数あります。
そしてそれらを使用する中で事故を発生させないためには、予備知識の習得と万全の対策が肝心です。
そこで本記事では、火災や爆発などの事故を防ぐための防爆構造について説明し、そのうちの一種である「油入防爆構造」を取り上げます。
工場関係者の方や、防爆対策を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
防爆構造とは
防爆構造とはその名の通り、爆発を防ぐための構造・仕組みを指します。
厳密には、可燃性物質の漏洩などにより生じた爆発性雰囲気と着火源の共存を避ける対策のことです。
爆発のプロセス
水素やメタン、一酸化炭素などは、それぞれ一定の引火点以上の温度下で、火を近づけると燃焼する「可燃性ガス」です。
ガソリン、石油、メチルアルコールなどの「可燃性液体」も、蒸発し空気中の濃度が高くなると、引火する恐れがあります。
これらの可燃性物質が浮遊する空気中では、火の元の取り扱いに注意が必要です。
特に、電気機器を使用する工場などでは、機械から飛び散った電気火花で着火する危険性があります。
可燃性物質に火炎が伝播すると、物質はどんどん燃え上がります。
炎により空気の温度は上昇し、閉鎖空間内の空気には圧がかかります。
この圧力に耐えきれなくなったとき、閉鎖空間は破壊され、外部に向かって空気が噴出される、というのが爆発の仕組みです。
工場や作業場において、可燃性物質や空気を取り除くのは不可能でしょう。
そこで、火災や爆発を誘引する着火源を引き離す対策を講じることで、大きな事故を防ぎます。
油入防爆構造とは
防爆構造は、用いられる場所や安全を保持するためのプロセスによって、様々な種類に分けられます。
ここでは防爆構造の一つ、「油入防爆構造」について紹介します。
構造
油入防爆構造とは、電気機器の電気火花や、2つの電極間の気体放電現象を指す「アーク」の発生部分を絶縁油に浸し、油面上に存在する爆発性ガスに引火しないように施した構造です。
着火源となりうる部分を絶縁油に浸すことで、可燃性物質との接触を避けます。
油入防爆構造は、通常運転で着火能力のない電気機器やその部品に用いられるのが一般的です。
設置場所
可燃性物質と空気が混合することで引火・爆発の恐れがあるゾーンを、危険場所と呼びます。
全部で3段階ある危険場所のうち、油入防爆構造が用いられるのはゾーン1(第一類危険箇所)とゾーン2(第二類危険箇所)です。
ゾーン1は、爆発性雰囲気をしばしば生成し、集積する可能性のある場所を指します。
またゾーン2は、爆発性雰囲気を生成する可能性が低い場所のことです。
両者において設置可能とされていますが、油の劣化や漏洩時の防爆性が懸念されるため、ゾーン2でのみ使用が推奨されるケースもあります。
注意点
油入防爆構造のデメリットは主に2つあります。
1つ目は、保守性が悪いことです。
油入防爆構造では、容器の中に油を入れ、油内に着火能力を有する部分を埋めるため、状態の維持や管理が難しいとされています。
2つ目は、比較的防爆性が弱いことです。
ゾーン1で同様に使用できる本質安全防爆構造や耐圧防爆構造に比べ、安全機能が脆弱と言われ、一つのデメリットと考えられています。
油入防爆構造で爆発・火災の元を引き離す
いかがでしたでしょうか。
今回は爆発のプロセスを紹介し、防爆構造の一つである「油入防爆構造」の仕組み・特徴を解説しました。
爆発の仕組みを理解し、適切な対策を講じる上での参考になりましたでしょうか。
工場や事務所の安全な運営には、事故を未然に防ぐための徹底的な対策が欠かせません。
場所や用途に合った防爆対策を講じましょう。
防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。