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2021.10.06
ベーパライザーの役割・仕組み
工場や倉庫などの特殊施設から、病院やレストラン、大型商業施設など日常生活の場面まで、至るところで「ベーパライザー」が用いられています。
ベーパライザーは、ガスの効率的な使用に欠かせません。
本記事では、ベーパライザーの役割や仕組み、関連工事などについて解説します。
ガスを身近に取り扱う方や、施設の責任者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ベーパライザーとは
始めにベーパライザーの概要を抑え、具体的な種類や施工方法を見ていきましょう。
役割・仕組み
ベーパライザーとは、液体のガスを熱媒体により加熱し、気化せしめる熱交換器を主体とした装置のことです。
蒸発器・強制気化装置とも呼ばれます。
NH3(アンモニア)やLPG(液化石油ガス)・LNG(液化天然ガス)などを液体のままベーパライザー内に送り込み、熱交換器で連続的に気体を発生させる仕組みです。
ベーパライザーは、気化ガスの圧力によって法的な取り扱われ方が異なります。
気化ガスの圧力が1.0MPaを超えると、高圧ガスの製造設備として規制を受けます。
また、ガス漏れが発生した場合、非危険箇所への流出を止め、火災・爆発を防ぐ防爆型のベーパライザーも存在します。
必要性
多量のガスを使用する場では、ボンベからの自然気化によるガス量だけでは供給が追いつきません。
そのため、液体ガスをベーパライザーによって気化し、ガスの安定供給を実現しています。
また、ガスの供給・消費設備であるボイラーや給湯器・バーナーなどでは、ガスを液体のままでは使用できず、気体での供給が不可欠です。
ただし液体を気化すると、アンモニアが890倍、プロパンが250倍、ブタンが200倍にまで体積が膨張します。
そのため、液体のまま配管に流してしまうと、体積膨張による事故に繋がりかねません。
以上の理由により、供給前に液体ガスを気化することが肝心なのです。
熱源
ベーパライザーの熱源は、主に3種類あります。
温水式
一般的に、最もよく使われているのが温水式です。
温水式はさらに、循環式と給湯器式に分けられます。
前者は、ボイラーなどで温水を作り、温水ポンプにより蒸発器へ温水を供給・循環させる仕組みです。
後者は、給湯器で作った温水を蒸発器内に循環させます。
温水の配管を取り付ける初期費用はかかるものの、ランニングコストは温水の発生方法に左右され、他の用途で既に温水を使用していれば、その一部を拝借する形になるため、比較的抑えやすいです。
電熱式
電熱式は、電熱ヒーターにより温水を作る仕組みです。
温水加熱機構によるものか、個体加熱機構によるものかに分けられます。
初期費用は防爆構造の電気配線を敷設するのみで抑えやすい反面、ベーパライザーの稼働により電気代という大きなランニングコストがかかるでしょう。
スチーム式
スチーム式は、直接熱機構によるものと間接熱機構によるものがあります。
前者ではスチームを直接熱交換器に吹き付け熱を吸収させる一方、後者ではスチームヒーターにより温水を作ります。
関連工事
ベーパライザーの設置工事では、防爆にも注意しなくてはなりません。
耐圧防爆配線工事
ベーパライザーと制御盤の電気ヒーター配線は、配線管路内で発生しうる爆発を周囲に波及させないため、耐圧防爆金属管配線もしくは電線管ねじ結合式金属配管に基づいた施工が求められます。
本質安全防爆配線工事
危険箇所の爆発性雰囲気の点火源とならないようにするため、電線回路における消費エネルギーを抑えなくてはなりません。
そのため、ベーパライザーと制御盤の制御回路配線は、保安回路の配線に基づいた施工が必要です。
ベーパライザーで安全・効率的なガス使用
いかがでしたでしょうか。
今回は、ベーパライザーの仕組みや必要性、防爆対策などを解説しました。
安全な設置・使用で、ガスの効率的な使用を目指しましょう。
防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。