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2021.10.06
粉塵爆発のメカニズムと対策
工場や施設で働く方であれば一度は耳にしたことがある「粉塵爆発」という言葉。
ですが、言葉自体は聞いたことがあっても、「粉塵爆発とはなにか」、そして「どのように対策をすればいいのか」、について知っている方が少ないのも現状です。
しかし、一度起きてしまえば大きな被害を生むため、従業員の安全と生命を守るという観点から、必要な対策を知り、実行することは不可欠です。
今回は粉塵爆発のメカニズムを解説した後に、具体的な対策を紹介していきます。
粉塵爆発はたった一度起きるだけで多大な損害が発生します。
大切な従業員の命や大事な工場設備をしっかりと守るためにも、ぜひ最後まで読んで対策を講じる際の参考にしてください。
粉塵爆発のメカニズム
粉塵爆発とは、一定濃度の可燃性の粉じんが気体中に浮遊した状態で、火花などにより引火することで起こる爆発のことを表します
そして、粉塵爆発の原因は大きく分けて、「酸素」「着火源」「粉塵の雲」の3つとされています。
各要素について順番に解説していきます。
酸素
粉塵に爆発性がある場合、同時に「粉塵爆発限界酸素濃度」と呼ばれるものが存在します。
端的に言えば、「これ以上酸素濃度が高くなると爆発が起こります」という指標です。
そしてこの「粉塵爆発限界酸素濃度」は粉塵の性質によって大きく異なります。
一般的な有機粉塵であれば、気体中の酸素濃度が12%〜13%以下であれば爆発はしません。
ですが、マグネシウムやアルミニウムなどをはじめとする金属粉は、酸素濃度が数%でも爆発を起こす危険性があります。
粉体の危険度は、「粒子の大きさ」、「爆発下限濃度」「最小着火エネルギー」の3つから評価されており、それぞれが小さければ小さいほどその危険度は上昇します。
着火源
着火源、すなわち着火に必要な最小エネルギーの大きさは、最も着火しやすい濃度の可燃性粉じんを着火させる最小の火花放電によるエネルギーを指します。
粉塵の雲
「粉塵の雲」とは、気体中の粉じんの濃度を指します。
粉塵は、種類ごとにそれぞれ「爆発上限界・爆発下限界」があり、その間を燃焼範囲と言います。
例えば、粉塵Aの爆発上限界が80%、爆発下限界が30%だとすると、酸素と着火源が揃ったときに爆発が起きてしまうのは、粉塵濃度が30%〜80%であるとき、となります。
粉塵爆発を防ぐための対策
前述した通り、粉塵爆発は「酸素」「着火源」「粉塵の雲」により引き起こされます。
逆に言えば、どれか一つを不活性化させることで粉塵爆発を予防することが可能です。
具体的には以下のような対策が有効と言えます。
- ・温度管理
- ・静電気対策
- ・電気設備の防爆化
- ・ガスの不活性化
- ・粉塵粒子の粗大化
- ・粉塵を高濃度で輸送
- ・不活性粉体を混入
いずれも粉塵爆発の予防という観点だけでなく、従業員の安全を確保する上で欠かせない対策です。
特に、静電気対策、電器設備の防爆化は粉塵爆発以外の対策にもなりうるので、必ず工場設備に導入するようにしましょう。
粉塵爆発対策をして安全な労働環境を実現しましょう
いかがでしたでしょうか。
本記事をお読みいただくことで、粉塵爆発のメカニズムとそれを防ぐ方法をご理解いただけたと思います。
粉塵爆発対策は施設や工場で働く従業員の安全を守るために必要不可欠です。
必要な対策を一つひとつ確認し、必要な対応を徹底することで安全な労働環境構築を実現しましょう。
防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。