トピックス
コラム
2021.10.06
危険物製造所とは
消防法の規定量以上の危険物を扱う場所は「危険物施設」とみなされ、厳しい設備基準のもとで管理をしなければなりません。
消防法における危険物とは、「火災を発生させるおそれがある、あるいは火災を拡大させるおそれのあるもの」で、性質により第1類~第6類に分けられます。
広く認知されているものの例としては、ガソリンや灯油などが挙げられます。
少し意外なところでは、洗濯などに用いる酸素系漂白剤の成分も、実は危険物の一種です。
今回は、危険物を扱う施設のうち「危険物製造所」について詳しくご紹介します。
消防法や危険物について知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
危険物施設とは
消防法では、危険物の種類ごとに「指定数量」を定めています。
平たく言えば、危険物の量のことですね。
特に危険性が高い物質であれば10kg以上から、灯油や軽油などですと1,000L以上取り扱っている場合に、消防法上の「危険物施設」として指定を受けることになります。
危険物施設は、危険物製造所・危険物貯蔵所・危険物取扱所の3つに分類されます。
製造所は文字通りの意味で、貯蔵所は倉庫と捉えると良いでしょう。
取扱所は、ただ保管しておくだけではなく、販売したり、移し替えたりする施設のことを言います。
危険物第1類・第6類を除いたほとんどの危険物は、火を近づけると引火したり、燃えたりする性質があります。
家庭で使うほどの少量であれば、それほど大きな危険は伴いませんが、工場などの事業所においては、大量の危険物を扱うことになります。
万が一爆発や火災が起こった場合には、工場内の損害のみならず、周辺にも危険が及ぶ可能性があります。
そのため、危険物施設においては、建物の構造や設備、保管方法に関する法令を遵守し、事故防止に努めなければなりません。
危険物製造所とは
「危険物製造所」は、危険物を製造するための施設です。
少々物々しい印象があるかもしれませんが、私たちの暮らしに関わる施設もあります。
例えば、建物などに用いる塗料や、消毒用のアルコール、スプレー缶入りの殺虫剤などを生産している工場などは、危険物製造所の扱いを受けていることが多いです。
危険物製造所は、施設の構造や配管などの建設にあたり、厳しい基準が設けられています。
新設する場合は、市町村に許可を申請し、建設中と完成時に2度の検査を受けます。
市町村から検査済の証明が交付されると、使用することができるようになります。
許可なく建設することや、変更を加えることは、罰則の対象となります。
新設だけでなく、施設を譲渡した、取り扱う危険物が新たに増えた、量が多くなったといった場合も、すみやかにその内容を市町村に届け出なければなりません。
危険物製造所の設備基準
構造上のルール
屋根や壁は、不燃性の材料を用いなければなりません。
延焼リスクが高い場所については、鉄筋コンクリートなどの耐火構造にする必要があります。
気化した可燃性の成分が空気よりも重いと、下方に滞留してしまうことになり危険です。
そのため、地面を掘り下げるような形で製造所を建設することは禁じられています。
窓や扉にガラスを使う場合は、網入りガラスを使うよう定められています。
割れた時に破片が飛び散りにくいため、延焼リスクの低減が期待できます。
設備上のルール
指定数量に対して10倍以上の危険物を扱う施設は、避雷針の設置が義務付けられています。
また、適宜窓や照明を設けて、施設内の明るさを保ちます。
取り扱う物質によっては排気口などを設置し、換気を行えるようにします。
配管は十分な強度がある素材を用います。
併せて、水圧による実験を行い、漏れなどがないことを確認します。
厳格なルールの中で運用される危険物製造所
いかがでしたか。
危険物製造所の特徴や、設備などのルールについてご紹介しましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
危険物を扱う施設は、火災などの事故を防止するため、法律を守って運用しなければなりません。
この記事が、危険物製造所について知るきっかけとなりましたら幸いです。
防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。