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粉じん危険場所とは?爆発を起こしうる粉じんの性質や防爆構造

「粉じん危険場所」という言葉を耳にしたことはありますか。

これは、工場や倉庫などの危険物を取り扱う施設において、防爆対策を行う際に大事な概念です。

ただし、専門的な学習をしたり、防爆に携わっていたりしない限り、理解するのが難しいかもしれません。

 

そこで本記事では、「粉じん危険場所」の定義や関連する概念を、初心者の方でも分かりやすく解説します。

防爆対策に関心のある方や、自社工場の新築・建て替えを検討している方などは、ぜひ参考にしてください。

 

 

粉じん爆発とは

粉じん危険場所という概念は、粉じん爆発の存在が背景にあります。

粉じん爆発とは、空気(酸素)中に浮遊する粉じんが、一定濃度を超える状態で着火した時に発生する爆発です。

粉じんの粒子が細かいほど着火しやすく、爆発の威力も大きくなります。

爆発を起こしうる大気中の粉じん濃度を「爆発範囲」といい、範囲内の濃度では裸火・摩擦熱・電気火花などにより火災・爆発が起こり得ます。

 

また、一つの粉じん粒子の火炎や爆圧は他の粒子へと連鎖的に伝わりやすく、堆積している粉じんは全て影響を受けるでしょう。

ガスとは異なり、光や熱などの輻射伝熱による発火も考えられるため、注意が必要です。

 

 

粉じんの性質

ここでは、粉じん爆発の原因となる粉じんの性質を、種類ごとに見ていきましょう。

 

爆発性粉じん

爆発性粉じんとは、上記で見た粉じん爆発の一因である微粒子です。

粉じん爆発の発生には酸素が重要ですが、爆発性粉じんは酸素が少ない大気中や二酸化炭素中でも燃焼し、大爆発が生じるリスクがあります。

 

マグネシウムやアルミニウム、チタン、亜鉛、トナーなどの金属粉じんが主な例です。

 

可燃性粉じん

可燃性粉じんとは、大気中の酸素によって発熱反応を起こし、燃焼する粉じんの一種です。

導電性粉じんと非導電性粉じんがあり、前者にはカーボンブラック・コークス・銅・鉄、後者には小麦粉・でんぷん・さとう・合成樹脂・ゴム・薬品などが含まれます。

 

 

粉じん危険場所とは

粉じん危険場所とは、粉じん爆発や燃焼を生じるのに十分な量の粉じんが大気中に浮遊し、爆発性雰囲気を生み出す恐れがある箇所や、粉じんの堆積があり大気中に浮遊する恐れがあるエリアを意味します。

粉じん危険場所は、爆発性雰囲気の存在状態や頻度・時間などによりグループ分けされます。

 

 

粉じん防爆構造

粉じん防爆構造とは、粉じんによる火災や爆発事故を防ぐため、電気機器に施す仕組みです。

電気機器は、アークや電気火花により着火源となる恐れがあるため、防爆構造が欠かせません。

 

防爆構造を備える電気機器には、電気機器内に粉じんが入り込みにくい仕組みであること、粉じんが電気機器の表面に堆積しても、引火しないように、機器の表面温度を調節できることが求められます。

粉じん危険場所で見られる防爆構造は、下記の2つです。

 

粉じん防爆特殊防じん構造

粉じん防爆特殊防じん構造とは、接合面の奥行きを一定値以上にするか、接合面にパッキンを取り付けて、容器内部へ粉じんが入り込むことを防ぎ、容器が温度上昇した際の熱を、外部の「爆発性粉じん」に引火しないように防いだ仕組みを指します。

 

粉じん防爆普通防じん構造

粉じん防爆普通防じん構造とは、接合面の奥行きを長くするか、接合面にパッキンをつけるなどして、容器内部へ粉じんが入り込むことを防ぎ、容器が温度上昇した際の熱を、外部の「可燃性粉じん」に着火しないように防いだ仕組みを指します。

 

 

電気機器の防爆化で粉じん爆発のリスクを抑える

いかがでしたでしょうか。

今回は粉じん爆発のメカニズムや粉じんの性質を踏まえ、粉じん危険場所の意味を解説しました。

目に見えない微粒子が大爆発を起こすリスクがあるため、日頃の防爆対策を心がけましょう。

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