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2021.10.06
粉塵爆発の原理
あまり知られていませんが、工場や施設において粉塵が原因となる爆発事故は、毎年3~4件が発生しています。
爆発事故は、可燃性燃料によるものや引火性の物質が原因であるケースが多く、粉塵が原因となる割合はそう多くはありません。
しかし、普段は安全な素材である小麦粉などでも爆発が起こる可能性があり、粉塵となる物質を扱っている場所では十分な注意が必要です。
本記事では、粉塵爆発の原理を詳しく解説しているので、メカニズムを把握して今後の対策に活かしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
粉塵爆発が起きる3要素
粉塵(ふんじん)爆発とは、可燃性の粉塵が空中に舞い、そこに引火することで起こる爆発の現象です。
以下の3つの条件が揃ったときに粉塵爆発が起きる可能性があります。
- 1.粉塵
- 2.着火源
- 3.酸素
それぞれの特徴と爆発の原因となる理由について、順番に解説していきます。
1.粉塵
粉塵にはさまざまな種類がありますが、爆発を引き起こす可能性がある粉塵の条件は「可燃性」であることです。
また、粉塵の密度も爆発に大きく関係していて、蜜すぎず、過疎過ぎない状態になっていると最も熱が伝わりやすくなります。
2.着火源
爆発には、着火源と呼ばれる熱を発するものが必要です。
一例としては、静電気、摩擦熱、電化製品の火花などで、これらが粉塵に熱を伝えると、爆発が起きます。
工場内に着火源が存在したとしても、そのエネルギーが小さければ、粉塵が爆発することはありません。
3.酸素
着火源が熱を発しても、そこに酸素がなければ燃えることはないので、爆発を避けられます。
しかし、工場などの施設において酸素が一切ない場所を作るというのは、現実的ではないでしょう。
酸素濃度が一定数に満たない時も爆発の危険は下がりますが、濃度についても細かくコントロールするのは難しいと言えます。
粉塵爆発の原理
粉塵爆発が起きる3つの要素が揃ったとき、どのような経過を経て爆発が起きるのでしょうか。
爆発の一番の原因は「大きな力の反発が同時に発生する」ということです。
粉塵は小さな粒子ですが、それぞれに表面積があるため、その面積の分だけ熱や空気に触れます。
例えば、大きな木の板に火をかざしても瞬時には燃えませんが、木を削った¨おがくず¨に着火するとよく燃えることをご存知の方は多いでしょう。
これは爆発の時に粉塵が燃えやすいことと同じ原理で、粒子が細かい物質だからこそ、熱を蓄えたり伝播したりしやすいのです。
燃えやすい大量の粉塵・着火源・酸素があり、さらにその場所が「密室状態」になっていたときに、大きな力がぶつかり合って圧力が発生し、爆発が起きるのです。
粉塵爆発を起こす粉塵の種類
爆発を引き起こす可燃性の粉塵には、以下のようなものがあります。
- ・金属系:アルミニウム粉、マグネシウム粉、チタン粉、
- ・炭素系:石炭、木炭
- ・合成樹脂:ポリエチレン、ポリプロピレン
- ・植物系:松ヤニ、コルク
- ・農産物系:小麦、ライ麦、でんぷん、砂糖、米
この他にも粉塵となる資材の種類は数多くありますが、注目すべきは小麦や砂糖など、一般家庭にある物質も爆発を起こす材料となり得ることです。
ただし、前述したとおり、爆発の要素には相当量の粉塵が必要なので、一般家庭にあるような量では爆発の起因となることはないでしょう。
粉塵爆発の発生は減らせる
いかがでしたでしょうか。
本記事をご覧いただくことで、粉塵爆発の原理をご理解いただけたと思います。
粉塵爆発は、粉塵・着火源・酸素の3つが揃った時に発生します。
逆を言えば、どれかひとつを欠けさせることが出来れば、爆発は起こりません。
粉塵爆発の原理を理解して、防爆対策をしっかりと整えておけば、爆発事故の発生を減らせるでしょう。
工事や粉塵を扱う施設で勤務している方やその管理者の方は、従業員の安全を確保するという観点から、ぜひ本記事で紹介した内容を参考に、必要な対策を考えてみてください。
防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。