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コラム
2021.10.06
金属管配線の防爆に欠かせないフィッチング施工の種類・施工内容
「フィッチング」という言葉の指す意味を知っていますか。
フィッチングとは、防爆対策を行う際に使う電気材料の一つで、日常生活では滅多に関わる機会がないでしょう。
そこで本記事では、フィッチングの具体的な中身や必要性、種類などを深掘りします。
防爆対策を考えている方や、フィッチングの作業内容を調べている方は、ぜひ参考にしてください。
フィッチングとは
フィッチングとは、防爆対象となる危険箇所における、電気設備の金属管に施す作業、又は作業で用いる電気材料を指します。
防爆電気機器(ボックス)と電線管の間や、電線管同士の繋ぎ目にフィッチングを取り付け隙間を塞ぎ、空気の侵入を防ぐことが目的です。
必要性
可燃性物質が浮遊し空気と融合することで、爆発性雰囲気を作るリスクがある範囲を「危険場所」と呼びます。
危険場所では、着火源があると火災・爆発のリスクが高いため、アークや火花を放出しやすい電気機器・設備には、防爆対策を講じなければなりません。
同様に、電線管内にも可燃性ガスや粉じんの流入の恐れが否めないため、フィッチング作業で隙間をなくすことが求められます。
種類
フィッチングには、設置場所や形・規模などにより幅広いバリエーションが見られます。
シーリングフィッチング
フィッチングと聞き、主に思い浮かべられるのがシーリングフィッチングです。
以下の条件に当てはまるケースでは、シーリングフィッチングが使われます。
シーリングフィッチングを使うケース
- ・異なる種別の危険場所間、もしくは危険場所と非危険場所の境界
- ・分岐接続、もしくは端末処理をする防爆電気機器と電線管路との間
金属管配線では、壁面貫通する隔壁のどちらか一方3m以内に、シーリングフィッチングを施さなくてはなりません。
また、54以上の電線管路や分電盤類の端子箱などが出入りする場合は、その45cm以内にシーリングフィッチングを取り付けます。
なお、電線管路の長さが15mを超える場合は、15m以下ごとに1箇所の設置が不可欠です。
施工方法はシンプルで、粉末状のシーリングコンパウンドを水に混ぜ、フィッチング内に充填し、蓋をします。30分ほど経つと硬化が始まり、施工完了です。
ただし、コンパウンドが配管内部に流れ込み防爆性能が不十分とならないよう、シーリングダムで堰き止めなくてはいけません。
また、シーリングフィッチングには、注入口の位置が固定された「縦型」や、位置を変えられる「自在型」があり、広く汎用されています。
サイズのラインナップも豊富なため、電線管に応じた製品を選びましょう。
さらに、防爆機能に加え、下向きのドレンコックを設けることで侵入水の排出が可能な「ドレンフィッチング」と呼ばれる製品も見受けられます。
フレキシブルフィッチング
電動機の端子箱と電線管の接続部のように、過度のストレスを受ける恐れがある箇所は、「可とう性」を要します。
可とう性とは、曲げたりたわみを持たせたりできる性質のことです。
可とう性を必要とする箇所には、耐圧防爆構造もしくは安全増防爆構造を備えるフレキシブルフィッチングを選びましょう。
シーリングフィッチングが比較的強固な作りであるのに対し、フレキシブルフィッチングはホースのような柔軟性があり、曲げられます。
曲げる際の内側半径は、フレキシブルフィッチングの管の外径の5倍以上設け、ねじ曲げないよう注意してください。
金属電線管の誘爆を防ぐフィッチング
いかがでしたでしょうか。
今回は、防爆対策に不可欠な金属電線管のフィッチング作業について解説しました。
危険場所の分類や電気機器の形状に合わせたフィッチングを選び、火災・爆発のリスクを確実に減らしましょう。
防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。