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2021.10.06
防爆対策の進化の歴史
「防爆」(ぼうばく)とは、その言葉のとおり¨爆発の危険を防ぐ¨対策のことです。
石油系や化学系の工場、原子炉などを扱う施設においては爆発の被害を出さないよう、厳重な管理をしています。
爆発事故の原因はさまざまで、古いものだと炭鉱での炭塵爆発や、戦後の火薬による爆発、近年のものでは都市ガスの爆発や石油燃料による爆発などがあります。
過去に起きた事故の事例や、専門機関の情報などを参考にして、より安全な決まりや法令が整備されてきました。
以下では、防爆対策に関連する、今日までの法令改正の歴史をまとめています。
目次
防爆の歴史を解説
防爆に関連する法令は、主に企業などの事業者が扱う電気器を安全に使うことを指示したもので、時代の変化に応じて何度も改正が行われています。
危険物を扱う事業者に関連する法令はとても複雑なのですが、本記事では電気機器に対する「電気機械器具防爆構造規格」を中心に解説します。
昭和30年:国内で初めてのガイドラインができる
爆発防止に関して、国内で初めてのガイドラインとなったのが昭和30年(1955年)に、労働省産業安全研究所の主導によって作成された「工場電気設備防爆指針」です。
このガイドラインは、国で定めた法令ではないため強制力はありませんでしたが、各事業者が任意で守るべき指標のひとつとなりました。
内容は防爆のための電気配線に関することや、電気機器の試験方法などについてまとめられていました。
参照:労働安全衛生総合研究所
昭和44年:防爆電気機器に関する規定の発令
昭和44年(1969年)には厚生労働省が管轄となり「電気機械器具防爆構造規格」が法整備されます。
これによって、該当機器を製造・使用する事業者はこの法令を元に、事業を行うことになりました。
この法令では、電気機器が爆発に繋がらない構造となっているように、細かく定められています。
昭和63年:構造規格に関しての法令改正
この年に改定された大まかな変更点は「防爆に適していると認める電気機器はICE規格に準ずる」という内容でした。
ICEとは国際電気標準会議のことで、電気製品の規格などを定める国際団体です。
この時に定められた基準は、後に何度か変わることになり、平成22年・平成27年と改定を繰り返し「国際整合防爆指針2015」へとアップデートされていきます。
平成20年:ICE規格と国内法令の整合化による改正
平成20年(2008年)に、内容がさらに改定されることになりますが、この時の理由は防爆の基準を国際規格と合わせるためでした。
主な改定内容は2点で、1つ目は電気機器が蒸気やガスに耐えられる構造であるかを再確認し、防爆性能を見直すこと。
2つ目は、ガスや蒸気が漏れる可能性がある施設やエリアの危険度を、区分分けするというものです。
参照:厚生労働省【労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行、他】
法令によって規格が厳格に定められたもの
前述した昭和44年の改正によって、防爆の規格に適合する電気機器しか使用が認められなくなりました。
以下の場所で使う電気機器は防爆の規格をクリアしている必要があります。
- ・石油工場
- ・石油プラント
- ・塗装工場
- ・天然ガス貯蔵場所
- ・火力発電所
これらは一例であり、危険物があるすべての場所や工事において、防爆に適した電気機器が必要です。
防爆の歴史は安全への道筋
いかがでしたでしょうか。
本記事をご覧いただくことで、防爆の歴史をご理解いただけたと思います。
爆発を未然に防ぐため、繰り返し法改正が行われてきました。
こうした積み重ねがあってこそ、現代においては危険物のある場所でも安全性が高く保たれているのです。
防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。