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2021.10.06
危険物の一種「酸化性固体」とは
危険物に関する知識をお持ちの方であれば、「酸化性固体」という言葉をご存じのことがほとんどでしょう。
多量の酸化性固体の取り扱いがある現場では、消防法に基づいてきちんと管理や貯蔵をしなければなりません。
一方で、普段の暮らしにおいて「酸化性固体」という物質を意識することはほぼありませんが、実は生活で使う身近なものにも含まれています。
では、消防法における「酸化性固体」とはいったいどのような物質なのでしょうか。
そこで今回は、酸化性固体の特徴や危険性などについてまとめました。
消防法や危険物のことを知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
危険物における酸化性固体とは
酸化性固体は、危険物の一種です。
危険物の6つの分類の中では、第1類に当てはまります。
消防法で定義されている危険物とは、火災を引き起こす、あるいは拡大させる危険性のあるものを指します。
保管や運搬の方法についても、ルールが厳しく定められています。
酸化性固体の特徴と具体例
酸化性固体は不燃性です。
ほとんどは粉末状で、白色に見えるものが多いですが、オレンジ色や濃い紫のような色のものもあります。
人体に有害な物質もありますので、触れたり吸い込んだりしないよう注意します。
酸化性固体は、医薬品や染料の製造、殺菌剤などとして、工業や農業など幅広い分野で使われています。
具体的にどのようなシーンで用いられているのか、その一例をご紹介します。
まず、過塩素酸塩類は、花火の爆薬や、ロケットの燃料(推進剤)として使われることがあります。
また、塩素酸カリウムはマッチの丸い部分(擦って火をつけるところ)に用いられています。
他にも、家庭向けの酸素系漂白剤に使われる過炭酸ナトリウムや、プールの消毒に用いる三塩素化イソシアヌル酸、硝酸塩類や無機過酸化物なども酸化性固体に当てはまります。
酸化性固体の危険性
上述した通り、酸化性固体そのものは火を近づけても燃えることのない「不燃性」です。
とはいえ、安全な物質ではないことを知っておきましょう。
熱や摩擦、衝撃などを与えると化学反応を起こし、大量の酸素を発生させます。
これが、酸化性固体の危険な特性です。
過炭酸ナトリウムなどは、家庭用の商品に含まれているほどの少量であれば、危険物には定義されません。
マッチも、正しく扱えば安全に火をつけることができます。
しかし、数十キロや数百キロもの酸化性固体を取り扱うような現場では、火災時の危険が高まります。
酸化性固体が火災現場にあると、燃焼に必要な酸素を大量に供給します。
その結果、火の勢いが激しくなる、爆発するといったことが起こります。
物的な損害が大きくなるばかりでなく、命に関わる事態にもなり得るのです。
酸化性固体の保管方法
酸化性固体を保管する際は、運搬時も含めて、衝撃や摩擦、そして熱源を避けます。
また、多くの酸化性固体は、密封した上で冷暗所に保管するよう決められています。
また、強酸性の物質や、還元性物質と混合すると、わずかな衝撃でも発火や爆発する危険があります。
保管場所を分け、接触しないようにします。
物質によっては、水や湿気との接触にも注意します。
普段はきちんと保管されていても、台風や集中豪雨などの影響で貯蔵場所が浸水するおそれもあります。
雨が多い時期が近づいてきたら、保管状況を確認しておくことが大切です。
不燃性でも「危険物」であることに注意
いかがでしたか。
酸化性固体の特徴や危険性について解説しましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
不燃性だから大丈夫というわけではなく、万が一のことを考慮して正しく取り扱うことが求められます。
この記事が、酸化性固体に関する知識を深める参考になりましたら幸いです。
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