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コラム
2021.10.06
身の回りに潜む静電気の危険性
静電気といえば、冬場にドアノブを触った時やセーターを脱いだ時にバチッとする、ちょっと嫌な現象ですよね。
日常生活を送る上では、このようにバチッと静電気が起こっても、多少の痛みはあってもそれほど大きな問題はありません。
しかし、静電気は時に重大な事故に繋がるおそれのある危険な現象でもあります。
セルフサービスのガソリンスタンドで、給油前に静電気除去装置に触れなければならないことにも、大切な理由があります。
静電気の発生そのものを抑えることは、事故やトラブルを防ぐためにも重要です。
今回は、静電気の危険性について、発生メカニズムなどとともに詳しく解説します。
静電気について正しく知っておきたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
静電気の発生メカニズム
静電気は、原子レベルというミクロな世界の現象です。
2つの物質同士を擦り合わせたり離したりすると、原子核の周りを飛んでいる電子が移動します。
原子核を構成する陽子はプラスの電気を、電子はマイナスの電気を持っています。
原子から電子が1つ飛んでいくと、プラスの性質を持つ陽子が多くなるためプラスに帯電します。
反対に、電子が飛んできた側の原子は、マイナスの性質を持つ電子が多いため、マイナスに帯電します。
これが「静電気」です。
静電気を帯びた原子は、電子と陽子の数が一致せず不安定な状態です。
これを安定した状態に戻そうとする時に「放電」が起こり、バチッとした衝撃が起こるのです。
静電気が発生しやすい条件
電気を通さないものであっても、静電気は起こりますが、プラスかマイナスどちらに帯電しやすいかは、物質によって異なります。
例えば、ポリエチレン製品はマイナスに帯電しやすく、ウールなどはプラスに帯電しやすいという性質を持ちます。
片方がプラス、もう一方はマイナスの性質を持つ物質を擦り合わせれば、大きな放電が起こりやすくなります。
また、気温が25度以下、湿度が25%以下という環境の場合、さらに静電気は発生しやすくなります。
ただし、これ以上の気温・湿度だからといって静電気が全く起こらないわけではありません。
静電気の危険性
日常生活における静電気の危険性
普段の暮らしの中で特に気をつけたい場面としては、セルフ式ガソリンスタンドでの給油です。
目に見えることはありませんが、ガソリンは常に気化しています。
もし、給油ノズルを差し込んだ時に、手と車の間で静電気の放電が起こったら、気化したガソリンに引火して火災になるおそれがあります。
静電気除去シートに触れるよう指示されているのは、このような事故を防止するためです。
給油の際は、必ず素手で触れて体の静電気を逃がしましょう。
事業所等における静電気の危険性
電子部品などを扱う場においては、放電によって機器が故障してしまう可能性があります。
また、製品にほこりなどが付着することもあり、生産への影響も考えられます。
危険物など引火性のある物質を扱う事業所の場合は、特に静電気の危険性を熟知しておかなければならないでしょう。
先述したガソリンのように、放電時のわずかな火花がきっかけで火災が起こる可能性があります。
また、粉体を大量に扱う工場などでは粉じん爆発の着火源になるおそれもあります。
静電気の火花は小さくても危険
いかがでしたか。
静電気の仕組みや、危険性についてご紹介しましたが、知識を深めていただけましたでしょうか。
普段はあまり気にならない静電気ですが、工場などにおいてはわずかな静電気でも危険な事故を引き起こす可能性があります。
この記事が、静電気対策の参考になりましたら幸いです。
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