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蒸気爆発のメカニズムと具体的な対策

普段の生活ではあまり聞き馴染みのない「蒸気爆発」ですが、工場や工業プラントの安全な運営を実施していく上で、常に向き合わなければならない関係にあります。

また、蒸気爆発が発生する原因とされるものを知り、必要な対策を講じることはそれに関わる人々の安全を確保する上で必要不可欠でしょう。

 

本記事では、蒸気爆発がどのようにして起こるのか、事例を紹介しながらそのメカニズムを説明した上で、具体的な対策を紹介していきます。

工場やプラントで働いている従業員の方はもちろん、施設管理を行っている方にとっても働く人々の安全確保の徹底という観点から、重要な内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

 

蒸気爆発のメカニズム

蒸気爆発とは、ドロドロに溶け切った金属をはじめとする超高温の物質と、低温の水が接触したときに、蒸気を伴いながら起きる爆発のことを指します。

実は、蒸気爆発が起こるメカニズムは明確には解明されておらず、現在2つの説が有力なものとして提唱されています。

 

自発核生成モデル

高温液(金属などが溶けたもの)と、水のような低温液の界面が、低温液の自発核生成温度を超えることで、低温液が突沸を起こし、爆発的な蒸発と微砕化が同時に発生するというモデル。

 

熱的デトネーションモデル

何らかの原因で生じた衝撃波が、高温液(金属が溶けたものなど)の微砕化と液体同士の接触による急速な伝熱を起こすことで、低温液の中に、 衝撃圧縮が生じるに十分な蒸発を発生させます。

そして、この熱移動によるエネルギー解放が衝撃波を維持し、蒸気爆発が継続するというモデル。

 

蒸気爆発の事例

蒸気爆発はその性質上、金属の製錬所や鋳造プラント、もしくは化学系の薬品を扱うようなプラントで起こりやすい事故です。

実際に、ウランやアルミニウム、マンガン、鋳鉄などの金属が水に触れ、爆発事故を起こしたケースが日本でも過去に存在します。

1984年、富山県のアルミニウム鋳造工場で発生した蒸気爆発は溶融アルミニウムと水が引き金となっていたり、1988年に兵庫県の製鉄所で起きた蒸気爆発は1500度の鋳鉄が漏れ出し、水に触れたことが原因となっていたりします。

 

 

蒸気爆発を防ぐための対策

蒸気爆発を防ぐためには、溶融高熱物の処理設備のうち、「ピット」、「水冷装置」「鉱さい処理場」の3点それぞれについて、「溶融高熱物の取扱い」と「保守点検」に留意する必要があります。

中央労働災害防止協会の安全衛生情報センターが公表している基準によると、「ピット」「水冷装置」「鉱さい処理場」は使用開始時に、バルブと傾動装置は1ヶ月ごとに、配管については半年ごとに1回の点検が推奨されています。

 

 

蒸気爆発対策をして安心安全な労働環境を作りましょう

いかがでしたでしょうか。

本記事をご覧いただくことで、蒸気爆発が起こる仕組みとそれを未然に防ぐ方法についてご理解いただけたと思います。

前述の通り原因については解明されていない部分がある反面、ピット、水冷装置、鉱さい処理上の定期的な点検を行うことが対策として有効であるとされています。

本記事をきっかけに、蒸気爆発対策について理解を深めていただければ幸いです。 

 

防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。 

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