防爆制御盤の役割や防爆の必要性・仕組み

オフィスの空調や建物のエレベーターなど身近なところから、工場や倉庫、ダムなどの大規模施設まで、電気を使う場所には必ず「制御盤」が備わっています。

電気機器をコントロールする司令塔である制御盤は、安心・安全な使用が欠かせません。

しかし、化学工場やプラントなど危険物を取り扱う場所では、火災や爆発などの事故の原因となるリスクもあります。

そこで注目したいのが、防爆構造を持つ制御盤です。

 

本記事では、制御盤の知識や防爆のポイントを捉え、防爆制御盤について解説します。

制御盤や防爆構造の中身を知りたい方や、プラントや倉庫を管理する方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

防爆制御盤とは

防爆制御盤とは、その名の通り、防爆構造を備えた制御盤を指します。

ここでは、制御盤が持つ役割や構造を確認した上で、防爆の必要性や防爆制御盤の具体的な種類を見ていきましょう。

 

制御盤とは

制御盤とは、機械や設備を電気制御するための、電気機器や部品を入れた箱のことです。

制御盤の中には、電気のブレーカーやスイッチ、インバーターやシーケンサー、タッチパネルなどが搭載されています。

これらは、機械のそれぞれの動力部(モーター)に電気を送り動かすための「動力回路」と動力回路(インバーターなど)を指示通り動かすための「制御回路」に分けられます。

制御盤は電気機器の心臓部とも言える重要な役割を果たすため、日々のメンテナンスや点検が欠かせません。

 

防爆すべき理由

制御盤は、大規模な機械を動かすファクトリーオートメーションの場でよく活用されます。

これらの現場では、石油やガスなどの可燃性物質も扱われる機会が多く、注意が必要です。

可燃性物質は、大気中の一定濃度を満たすとき、着火源があれば燃焼し始め、火災・爆発に繋がりかねません。

電気でコントロールする制御盤は、正常時または異常時にアークや火花を発生させたり、温度が上昇したりすることで、可燃性物質に着火する恐れがあります。

このため、可燃性物質が多く浮遊し爆発・火災のリスクが高い危険場所においては、制御盤の防爆設計が必要です。

 

内圧防爆構造の制御盤

一般的に、防爆構造には耐圧防爆構造・安全増防爆構造・本質安全防爆構造・内圧防爆構造などの種類があります。

ここでは、制御盤の防爆化によく用いられる内圧防爆構造を例に、どのような仕組みで防爆するのかを見ていきましょう。

 

仕組み

内圧防爆構造では、運転開始前に制御盤が入った容器内の空気を排出し、保護気体(清浄な空気や窒素などの不燃性ガス)を加圧して注入します。

容器内の保護気体の圧力は、外部の圧力より高く保つことで、容器外部の可燃性ガス・蒸気の侵入を防ぎ、着火源から隔離するという仕組みです。

もし運転中に内圧が一定値以下になったとしても、圧力検出器がこれを知らせる警報を出すか、保護装置が運転を停止させます。

 

内圧防爆構造と同じように、容器内に清浄な空気を加圧して注入し、腐食性ガスの侵入を防ぐ「エアパージ方式」があります。

ただし防爆目的では、日本国内の検定に合格した防爆機器のみ使用可能です。

エアパージ方式には保護装置がなく、内圧低下時に可燃性ガス・蒸気が侵入してしまうリスクがあるため、危険場所では使えません。

 

内圧防爆構造では、防爆性能に加え、腐食性ガスの侵入も防げるため防食効果も期待できるでしょう。

 

 

電気機器をまとめる司令塔・防爆制御盤

いかがでしたでしょうか。

今回は、制御盤の構造から防爆の必要性、内圧防爆構造について解説しました。

危険場所では制御盤の防爆対策もしっかり行い、事故を防いで安全な運転を行いましょう。

防爆機器とは?火災・爆発が起こるプロセスから防爆構造の種類

日常生活を送っていて、「防爆」について考える機会は少ないでしょう。

しかし、身の回りには火災や爆発の要因となりうる危険な物質が多く潜んでいます。

特に、化学製品や大規模な電気機器を扱うプラントや倉庫では、些細なことから大規模な事故が起きるケースも少なくないです。

 

そこで本記事では、防爆が必要な理由や防爆機器の仕組み・種類などを紹介します。

防爆に関わる知識を身につけることで、少しでも事故のリスクを減らし、安全に作業できるような環境を作りましょう。

 

 

防爆とは

火災や爆発が起きる仕組みを把握し、防爆とは何を意味するのかを確認します。

 

火災・爆発の仕組み

紙や炭・ガスやガソリンなどの可燃物は、熱(着火源)が加わることで、燃焼を助ける支援物である酸素やフッ素などと結びつきやすくなり、燃焼します。

着火源は熱源や火気のみに限らず、静電気放電や漏電、太陽光なども含まれるため注意しましょう。

 

燃焼している可燃物の炎や熱は、近くの可燃物へと伝播します。

密閉空間内の大気は火炎により温められると、圧力が大きくなります。

この圧力に耐えきれなくなった時、密閉空間を突き破り、中の大気・物が噴出されるのです。

 

防爆の必要性

危険物を多く取り扱う工場や倉庫などでは、ガソリンや石油・水素やメタンなどの可燃性ガスによって引き起こされた火災・爆発が多いです。

これらの事故の一因として、電気機器のアークや電気火花が考えられます。

 

そのため、可燃性ガスや可燃性液体の蒸気が大気中に混じり、火災・爆発のリスクが高い「危険場所」においては、電気機器の防爆化が欠かせません。

 

 

防爆機器とは

防爆機器とは、着火源とならないことを目的とし、防爆構造を備えた電気機器を指します。

火災・爆発の仕組みから分かるように、危険物質の浮遊が避けられない環境下で事故を防ぐためには、可燃性ガス・蒸気を着火源から引き離すことが肝心です。

そのため防爆機器は、あらゆるアプローチで電気機器による爆発を防ぐ対策が取られています。

 

法的義務

危険場所における電気機器の防爆化は、労働安全衛生法・消防法・電気事業法などによって義務付けられています。

また、使用する防爆機器は、国内で認められた検定に合格していなければなりません。

現在、日本国内では「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆2006)」と「工場電気設備防爆指針(国際整合技術指針 Ex2015,2018)」の2つの指針が存在します。

 

防爆構造の種類

防爆構造の種類には、耐圧防爆構造・本質安全防爆構造・内圧防爆構造・安全増防爆構造・油入防爆構造などがあります。

ここでは、よく用いられる耐圧防爆構造・本質安全防爆構造の仕組みを見ていきましょう。

 

耐圧防爆構造(d)

容器内部に可燃性ガス・蒸気が入り込み爆発が起きた際に、容器が爆発の圧力に耐え、爆発による火災が外部の可燃性ガスに伝わらないようにした構造です。

着火源を容器内に隔離する全閉構造で、圧力に耐える強度が求められるため、大きく重くなる傾向があります。

 

本質安全防爆構造(i)

正常時及び事故時に発生する火花・アーク・高温の熱が、可燃性ガスや蒸気に引火しないことが、公的機関の試験などにおいて確認された構造です。

電気機器の故障時にも防爆性能を発揮し、最もリスクの高い特別危険箇所でも使えるという利点があります。

 

防爆性能の表記

防爆機器には、それぞれの防爆規格・爆発等級・発火度を組み合わせた記号が表示されています。

例えば、耐圧防爆構造(d)で爆発等級が2、発火度がG4(135度超え200度以下)の防爆機器の場合、防爆記号は「d2G4」です。

 

 

適切な場所に正しい防爆機器を設置しよう

いかがでしたでしょうか。

今回は、防爆の基礎知識から防爆機器の種類・特徴などを紹介しました。

火災・爆発が起こりうる危険場所においては、防爆機器の使用義務を守りましょう。

 

防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。 

粉じん危険場所とは?爆発を起こしうる粉じんの性質や防爆構造

「粉じん危険場所」という言葉を耳にしたことはありますか。

これは、工場や倉庫などの危険物を取り扱う施設において、防爆対策を行う際に大事な概念です。

ただし、専門的な学習をしたり、防爆に携わっていたりしない限り、理解するのが難しいかもしれません。

 

そこで本記事では、「粉じん危険場所」の定義や関連する概念を、初心者の方でも分かりやすく解説します。

防爆対策に関心のある方や、自社工場の新築・建て替えを検討している方などは、ぜひ参考にしてください。

 

 

粉じん爆発とは

粉じん危険場所という概念は、粉じん爆発の存在が背景にあります。

粉じん爆発とは、空気(酸素)中に浮遊する粉じんが、一定濃度を超える状態で着火した時に発生する爆発です。

粉じんの粒子が細かいほど着火しやすく、爆発の威力も大きくなります。

爆発を起こしうる大気中の粉じん濃度を「爆発範囲」といい、範囲内の濃度では裸火・摩擦熱・電気火花などにより火災・爆発が起こり得ます。

 

また、一つの粉じん粒子の火炎や爆圧は他の粒子へと連鎖的に伝わりやすく、堆積している粉じんは全て影響を受けるでしょう。

ガスとは異なり、光や熱などの輻射伝熱による発火も考えられるため、注意が必要です。

 

 

粉じんの性質

ここでは、粉じん爆発の原因となる粉じんの性質を、種類ごとに見ていきましょう。

 

爆発性粉じん

爆発性粉じんとは、上記で見た粉じん爆発の一因である微粒子です。

粉じん爆発の発生には酸素が重要ですが、爆発性粉じんは酸素が少ない大気中や二酸化炭素中でも燃焼し、大爆発が生じるリスクがあります。

 

マグネシウムやアルミニウム、チタン、亜鉛、トナーなどの金属粉じんが主な例です。

 

可燃性粉じん

可燃性粉じんとは、大気中の酸素によって発熱反応を起こし、燃焼する粉じんの一種です。

導電性粉じんと非導電性粉じんがあり、前者にはカーボンブラック・コークス・銅・鉄、後者には小麦粉・でんぷん・さとう・合成樹脂・ゴム・薬品などが含まれます。

 

 

粉じん危険場所とは

粉じん危険場所とは、粉じん爆発や燃焼を生じるのに十分な量の粉じんが大気中に浮遊し、爆発性雰囲気を生み出す恐れがある箇所や、粉じんの堆積があり大気中に浮遊する恐れがあるエリアを意味します。

粉じん危険場所は、爆発性雰囲気の存在状態や頻度・時間などによりグループ分けされます。

 

 

粉じん防爆構造

粉じん防爆構造とは、粉じんによる火災や爆発事故を防ぐため、電気機器に施す仕組みです。

電気機器は、アークや電気火花により着火源となる恐れがあるため、防爆構造が欠かせません。

 

防爆構造を備える電気機器には、電気機器内に粉じんが入り込みにくい仕組みであること、粉じんが電気機器の表面に堆積しても、引火しないように、機器の表面温度を調節できることが求められます。

粉じん危険場所で見られる防爆構造は、下記の2つです。

 

粉じん防爆特殊防じん構造

粉じん防爆特殊防じん構造とは、接合面の奥行きを一定値以上にするか、接合面にパッキンを取り付けて、容器内部へ粉じんが入り込むことを防ぎ、容器が温度上昇した際の熱を、外部の「爆発性粉じん」に引火しないように防いだ仕組みを指します。

 

粉じん防爆普通防じん構造

粉じん防爆普通防じん構造とは、接合面の奥行きを長くするか、接合面にパッキンをつけるなどして、容器内部へ粉じんが入り込むことを防ぎ、容器が温度上昇した際の熱を、外部の「可燃性粉じん」に着火しないように防いだ仕組みを指します。

 

 

電気機器の防爆化で粉じん爆発のリスクを抑える

いかがでしたでしょうか。

今回は粉じん爆発のメカニズムや粉じんの性質を踏まえ、粉じん危険場所の意味を解説しました。

目に見えない微粒子が大爆発を起こすリスクがあるため、日頃の防爆対策を心がけましょう。

ガス蒸気危険場所の分類や対象となる場所

工場で働いたり、大規模な電気機器を扱ったりする際には、「ガス蒸気危険場所」という言葉を耳にするかもしれません。

これは、建物の防爆化には欠かせないキーワードです。

 

そこで本記事では、「ガス蒸気危険場所」とは何を表すのかを解説します。

防爆対策の導入を考えている方や、「ガス蒸気危険場所」についての知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

ガス蒸気危険場所とは

では早速、「ガス蒸気危険場所」の定義や分類について詳しく見ていきましょう。

 

概要

「ガス蒸気危険場所」とは、可燃性のガスや蒸気が漏洩・放出し酸素(空気)と混ざることで、爆発性雰囲気となるかもしれない範囲・エリアのことです。

 

一般的に、可燃性ガス・蒸気などの危険な物質は、タンクや容器の中に密閉して保存されています。

しかし、装置の故障や誤作動などにより、危険性物質が大気中に漏出される可能性も否めません。

多量の可燃性ガス・蒸気が漏出し、空気中の濃度が高くなると、その近辺には「爆発性雰囲気」と呼ばれる危険な雰囲気が発生します。

爆発性雰囲気の中に、電気機器のような着火源があると引火し、火災・爆発のリスクが高まります。

 

「ガス蒸気危険場所」とは、上記のような火災・爆発のリスクが高い範囲を、危険度に応じて分類したものです。

爆発性雰囲気が蔓延する時間や頻度に応じて3段階に分けられ、対応する防爆構造を有した電気機器の選定・使用が世界的に呼びかけられています。

 

分類

では、労働安全衛生法が示す、それぞれの危険場所の定義を確認していきましょう。

 

特別危険箇所(0種場所・Zone0)

「通常の状態」において、爆発性雰囲気を「持続して」作り出すリスクが高いゾーン、または可燃性ガス・蒸気が「頻繁に」高濃度(爆発下限界以上)となる範囲のことです。

可燃性ガスの液面上部などを指します。

 

第一類危険箇所(1種場所・Zone1)

「通常の状態」において、爆発性雰囲気を「しばしば」作り出すリスクがあるエリアのことです。

具体的には、通常の運転・操作で製品を取り出したり、ふたを開閉したりして可燃性ガス・蒸気を放出する開口部付近や、しばしば点検や修理で可燃性ガス・蒸気を放出する開口部付近、室内または換気が妨げられやすく、可燃性ガス・蒸気が停滞しやすい範囲を指します。

 

第二類危険箇所(2種場所・Zone2)

「通常の状態」において、爆発性雰囲気を発生する恐れが「少なく」、発生した場合でも「短時間」しか続かないエリアのことです。

容器や設備が故障し、密閉されていた可燃性ガス・蒸気の漏出に起因して爆発性雰囲気が作られる恐れがある範囲や、第一類危険箇所に隣接し、爆発性雰囲気が稀に入り込む恐れがある箇所などを指します。

 

可燃性ガス・蒸気の種類

可燃性ガス・蒸気には、水素・石炭ガス・アンモニア・一酸化炭素・エタン・プロパン・エタノールなどがあります。

それぞれの可燃性ガスには、空気と混合した際に、着火することで爆発を起こす最低濃度が決まっています。

可燃性ガスは一定条件が揃うと、大規模な火災・爆発の原因となるため注意が必要です。

 

当てはまる場所

ガス蒸気危険場所に当てはまり、防爆構造が必要となるのは、石油や化学薬品を使用・生成するプラント、ガスやガソリン・可燃薬品・塗料・溶剤などを取り扱う場所、可燃性物質を貯蔵・保管する工場や倉庫などです。

 

 

危険度で分かれる防爆の対象エリア

いかがでしたでしょうか。

今回は、防爆知識の一つである「ガス蒸気危険場所」の定義や分類、対象範囲を紹介しました。

特に工場管理者やガスを取り扱う場所で勤務している方は、安全確保の観点なら対策は必要不可欠です。

工場や倉庫などでは、扱う物質やエリアに合わせた対策をしっかり講じ、火災・爆発などの事故を防いで、安全な運営を行いましょう。

 

防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。 

ビル火災の避難するときのポイント・注意点

タバコやコンロ・配線器具など、身の回りには火事の原因となりうる着火源が複数存在します。

日頃から火災対策をしていても、些細なことが原因で大事故が起こりかねません。

 

特に、高層階で多くの人がいるビルでは、火災が発生した際の行動が命を左右します。

 

そこで本記事では、火災発生時の避難で意識すべきことや、ビルの逃げ方のポイントを解説します。

万が一の時、冷静に命を守るために、安全な逃げ方をしっかり把握しておきましょう。

 

 

火災発生時の避難のポイント

まずは、場所や建物の種類にかかわらず、火災が発生した際の避難の基本を確認します。

 

素早く動き始める

何かが燃えている音や煙の臭いを感じたり、火災警報器が作動したりした際には、素早く動き始めましょう。

発生した炎や煙は、わずか数分で建物内に充満します。

逃げ遅れないためには、火の元から離れ、屋外に避難することが重要です。

 

焦らずに冷静に落ち着いて、正しい判断を心がけましょう。

 

煙を吸わない

火災時には、火炎だけでなく煙に注意しなくてはなりません。

煙には一酸化炭素などの有毒ガスが多く含まれ、吸い込んだ場合、中毒を起こす恐れがあります。

避難中に気絶してしまった場合には、最悪死に至るケースもあるでしょう。

 

火災初期の煙は白い一方、既に燃焼が激しい炎の煙は黒く、有毒ガスを多量に含むため要注意です。

温度の高い煙は上方に溜まりやすいため、逃げる際にはハンカチやタオルで鼻・口元を覆い、低く屈みながら床近くの空気層を移動しましょう。

 

火炎近くの部屋から逃げる場合、窓や扉を閉めて、空気の供給と煙・炎の拡散を遅らせるのもポイントです。

 

押さない

複数人で避難する際、前の人を押してはいけません。

一人が転ぶと、ドミノ倒しのように転倒が続き、怪我をする恐れがあります。

周りの人とは目や手振りで合図をしつつ、落ち着いて行動しましょう。

 

走らない

急いで避難しようと焦るあまり、走りたくなるかもしれません。

しかし、煙や炎で視界が悪い中、物につまづいたり、ぶつかったりして二次災害が発生するリスクがあります。

低く屈みながら、できる範囲内で素早い行動を意識しましょう。

 

戻らない

一度避難を始めたら、火のある元の場所に戻ってはいけません。

実際に、逃げ遅れた人を助けに戻り、犠牲になるケースも見られます。

建物内にまだ人が残っている場合は、その旨を消防隊に伝え、救助を任せましょう。

 

 

ビル火災発生時の逃げ方

ここでは、ビルで火災が発生した場合の逃げ方のポイントを見ていきましょう。

 

階段で下に降りる

煙は3~5m/sの速さで上昇します。

上には危険性の高い煙がどんどん充満するため、下方向に向かって避難しましょう。

 

避難の際には、エレベーターは止まって閉じ込められてしまう可能性があるため、階段を使います。

高層ビルの場合でも、非常階段を使って降りましょう。

 

最近のビルは、廊下と階段室の間に扉があり、火災時には自動で扉が閉まる仕組みになっています。

ただし、万が一扉が閉まらなかったり、下層階で火災が発生したりした場合は、内階段に煙が充満するかもしれません。

その際は、外階段を利用しましょう。

 

降りられない時は屋上に避難

下層階で炎が広がっていたり、下方向への道が塞がれてしまっていたりして下に降りられない時は、屋上へ避難しましょう。

屋上では皆でまとまり、風上側で救助を待ちます。

 

 

日頃からの対策でビル火災の犠牲を防ぐ

いかがでしたでしょうか。

今回は、ビルで火災が起きた際の避難のポイントや注意点を紹介しました。

ビル火災による犠牲を防ぐためには、普段から避難経路を確認したり、防災対策を行ったりすることが肝心です。

 

防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。 

引火点と着火点の違いや注意点を解説

「引火点」という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。

何気なく「物が燃えるときの温度」と捉えているかもしれませんが、発火点や燃焼点など類似した言葉もあり、厳密な定義はそれぞれ異なります。

 

そこで本記事では、引火点の具体的な内容や防爆におけるポイントを紹介します。

仕事柄、危険物の取り扱いに関わる方や、防爆に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

引火点とは

まず、引火とは、加熱することで一定の温度まで上がった可燃性物質が、火を近づけた時に燃焼し出す現象を指します。

引火点とは、可燃性物質が燃焼するときの最低温度のことです。

 

厳密には、可燃性物質は温度が上がることで、可燃性の蒸気を発散します。

この可燃性蒸気と空気が混合したときの濃度により、引火の有無が決まります。

つまり、可燃性蒸気の濃度が高く、蒸気燃焼可能な爆発範囲(燃焼範囲)に入った時に、引火するのです。

 

アルコールランプは、液体の蒸発燃焼を利用した一例で、芯を上がって蒸発したアルコールに火を近づけることで引火します。

 

発火点との違い

引火点と比較説明されるのが、発火点です。

発火点とは、着火源がなくても、何らかの影響で高温となった可燃性物質が燃える最低温度を指します。

一般的に、発火点は引火点よりも高いです。

灯油やガソリンの発火点は約260度で、この温度を上回ると着火源がなくても、自ら燃え始めます。

 

常温の空気中でも自然に発熱し、熱を蓄積することで発火点に達し、燃焼し始める「自然発火」という現象も起こり得ます。

自然発火の原因は酸化熱や吸収熱、分解熱などがありますが、日常生活にも危険が潜むため要注意です。

実際に、アロマオイルが付着したタオルが自然発火し、火災を起こしたエステ店もあります。

 

燃焼点との違い

あまり馴染みのない燃焼点ですが、危険物を取り扱う上では、知っておいて損はありません。

燃焼点とは、引火した可燃性物質が燃焼を5秒間維持するための最低温度のことです。

引火点と発火点の間の温度と考えれば良いでしょう。

 

引火後に、可燃性物質自体の温度が燃焼点を下回れば、燃焼は止まります。

反対に、引火後も可燃性物質自体の温度が燃焼点を上回れば、燃焼し続けます。

 

引火点の例

代表的な可燃性物質の引火点は以下の通りです。

 

可燃性物質の引火点

     
  • ガソリン -43度以下
  •  
  • シンナー類 -9度
  •  
  • メチルアルコール 11度
  •  
  • 灯油 40~60度
  •  
  • 軽油 40~70度
  •  
  • 重油 60~100度
  •  
  • 機械油 106~270度
  •  
  • ごま油 289~304度
  •  
  • 菜種油 313~320度
  •  

 

ガソリンは-43度以下と極めて低く、引火しやすいです。

ガソリンによる火災・爆発を防ぐためには、ガソリン容器から蒸気が流出しないようしっかり防ぎ、火の気がある場所や直射日光の当たる場所を避けて取り扱い・保管しましょう。

 

防爆における引火点

火災による爆発を防ぐためには、可燃性物質が引火しないよう、電気設備に防爆構造を施さなくてはなりません。

危険物の規制に関する政令により、防爆構造の設置義務は以下の条件に当てはまる事業所や工場に課されます。

 

電気設備を防爆構造としなければならない範囲

 

  • ①引火点が40度未満の危険物を貯蔵し、または取り扱う場合
  •  
  • ②引火点が40度以上の危険物であっても、その可燃性液体の引火点以上の状態で貯蔵し、または取り扱う場合
  •  
  • ③可燃性微粉が著しく浮遊するおそれのある場合
  •  

危険物を取り扱う際は、引火点を含む、物質の特徴をしっかり把握しましょう。

 

 

防爆するためには引火点に要注意!

いかがでしたでしょうか。

今回は、引火点の定義や防爆における重要性を紹介しました。

危険物を少しでも取り扱う場合は、防爆構造の設置を推奨します。

 

防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。 

可燃性ガスとは?火災・爆発の危険性や種類ごとの特徴・危険性

化学工場や事務所など、危険物を取り扱う場所では、常に事故を起こさないための細心の注意を払う必要があります。

特に、可燃性ガスは一定の条件下で大規模な事故を引き起こす可能性があり、関わる人の人命を守るという観点から、慎重に取り扱わなくてはなりません。

 

そこで本記事では、可燃性ガスの性質や種類について説明します。

工場責任者の方や、危険物の取り扱い方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

可燃性ガスとは

はじめに、可燃性ガスとは何なのか、何で構成されているのか、特徴や定義を見ていきましょう。

 

性質

可燃性ガスとはその名の通り、空気中・酸素中で継続して燃える可能性がある気体のことです。

基本的に単体で燃える訳ではありません。

酸素・塩素などの燃焼を助ける「支燃性ガス」と混じり合い、一定のガス濃度数値を超える時、着火源に触れると燃焼・爆発の恐れがあります。

 

可燃性ガスは、以下の特徴のうちいずれか、または複数を持ち合わせています。

1つ目は、上記で説明した通り、着火すると燃焼する「可燃性」です。

2つ目は、衝撃や光を与えると爆発する「自己分解性」です。

自己分解性を有するアセチレンやオゾンなどの気体は、支援性ガスなしでも燃焼・爆発の可能性があり、大きなエネルギーを持ちます。

3つ目は、空気に触れると自然に燃焼する「発火性」です。

「自己分解性」と同様、着火源がなくても単体で爆発する危険性を持ちます。

 

定義

容器保安規則・第二条第一項29号では、可燃性ガスが満たす具体的な条件・定義を下記のように定めています。

     
  • ・爆発下限界が10%以下のもの
  •  
  • ・爆発範囲が20%以上のもの
  •  

可燃性ガスと空気が混合した際のガス濃度により、燃焼・爆発のリスクが異なります。

燃焼・爆発を起こしうる最低濃度を「爆発下限界」、最高濃度を「爆発上限界」とし、両者の間を「爆発範囲」と呼ぶのが一般的です。

条件を満たすものであれば、混合ガスも可燃性ガスとして分類されます。

 

爆発範囲を示す爆発下限界と爆発上限界は、ガスのタイプによって大きく異なります。

 

危険性

可燃性ガスは、条件が揃うと、大規模な火災や爆発事故を引き起こしかねません。

少量の気体でも、命に関わる労災事故に繋がる危険性もあるため、十分な警戒・対策が不可欠です。

 

 

可燃性ガスの種類

ここでは、代表的な可燃性ガスの種類、特質をチェックしていきましょう。

 

水素

水素の爆発範囲は4.0~75.6(vol%)であり、比較的広いです。

水素は密度が最小の物質であり、軽く、拡散されやすいため、高濃度にはなりにくいと言われます。

ただし、爆発等級は3段階中最大の3で、破壊力が大きいです。

 

プロパン

プロパンの爆発範囲は2.1~9.5(vol%)です。

爆発下限界が低めなため、少量でも火災・爆発のリスクがあり、要注意です。

プロパン自体は無味・無臭ですが、ガス漏れ時に気づきやすいよう、ガス特有の臭いをつけているケースもあります。

 

一酸化炭素

一酸化炭素の爆発範囲は12.5~74%(vol%)です。

火災・爆発の危険性に加え、吸入による毒性もあります。

酸素不足の状態でガスを燃焼させると、不完全燃焼が起こり、一酸化炭素中毒になる恐れがあります。

 

ガスの取り扱いには、二次災害のリスクも踏まえた慎重な行動が欠かせません。

 

 

慎重な取り扱いでガス火災・爆発を防止

いかがでしたでしょうか。

今回は、可燃性ガスの特性や危険性、種類について解説しました。

取り扱いを誤れば大きな事故を引き起こすリスクがあるため、正しい知識を爆発を防ぐための方法を把握しておくことが大切です。

工場や事業所で安全に作業するためには、十分な知識を身につけ、万全な対策をしましょう。

 

防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。 

樹脂充てん防爆構造の仕組みや特徴・注意点

私たちの身の回りには、水素や都市ガス、石油や灯油など様々な物質が存在します。

これらの物質は、一定の条件下で燃焼する恐れがある「可燃性物質」であり、特に、危険物を取り扱う化学工場や事務所では接する機会が多いでしょう。

誤った使用や事故により、火災や爆発などが発生するのを防ぐためには、電気機器の防爆構造が欠かせません。

 

そこで本記事では、防爆構造の中でも注目度が高い「樹脂充てん防爆構造」について解説します。

工場を経営されている方や、危険物を取り扱う仕事に従事している方などは、ぜひ参考にしてください。

 

 

樹脂充てん防爆構造とは

防爆構造は、その設計や適用箇所の危険度により複数種類に分類されます。

ここでは、防爆構造の一つである「樹脂充てん防爆構造」について、その特徴やメリットを見ていきましょう。

 

構造

樹脂充てん防爆構造とは、火花やアークを発したり、高温となり熱を発したりすることで点火源となる恐れを有する部分を樹脂の中に囲い込み、可燃性ガス・蒸気と接触しないようにする電気機器の構造です。

つまり、着火源となりうる電気部品や電気回路を、絶縁性の樹脂(コンパウンド)に埋め込むことで、可燃性物質を遮断し、燃焼や爆発を防ぎます。

 

分類

樹脂充てん防爆構造は、国際規格IE60079-18で規定され、従来より存在する防爆構造です。

しかし、日本では長い間、新種の防爆構造を表す「特殊防爆構造(s)」として許容するのみでした。

そのような中、2008年に電気機械器具防爆構造規格が改定され「樹脂充てん防爆構造(m)」という単独のカテゴリーが誕生したのです。

 

また、樹脂充てん防爆構造は、特別危険箇所と第一類危険箇所での使用が可能とされています。

 

メリット

樹脂充てん防爆構造のメリットの一つは、小型化が可能な点です。

 

容器内部に侵入した爆発性ガスによる内部爆発に対し、容器が損傷・圧力に耐え、同時に外部の爆発性ガスに引火するのを防ぐ防爆構造を「耐圧防爆構造」と言います。

耐圧防爆構造では、爆発圧力に耐えるだけの丈夫さと、火炎が逃げないための頑丈な接合面が求められるため、筐体が強固で大きい上に重く、コストが高くなりがちです。

また、重厚な筐体に囲まれると、質量を電気信号に変換するセンサ(ロードセル)の変形に制限を受け、測定精度に限界があります。

一方で、樹脂充てん防爆構造では、点火源を絶縁樹脂で亀裂なく囲い込むだけで防爆可能です。

樹脂自体が筐体を兼ねることもでき、強固な容器が必要なく、小型化・軽量化が実現されます。

また、ロードセルの変形に制限を受けることもなく、柔軟性の高いウレタン樹脂を使用することで高精度化も叶うでしょう。

 

さらに、樹脂充てん防爆構造は他の防爆構造と組み合わせやすいことも、利点の一つです。

 

注意点

樹脂充てん防爆構造では、充てん用の樹脂を用います。

樹脂には複数の種類があり、それぞれ材質グレードや強度、添加物の有無などが異なります。

樹脂充てん防爆構造を用いる際には、使用環境への適合性を配慮した樹脂選びが重要です。

また、樹脂自体が筐体を兼ねる場合は、静電気の考慮も欠かせません。

 

 

樹脂充てん防爆構造を用いて、安全に電気機器を使おう

いかがでしたでしょうか。

今回は、樹脂充てん防爆構造の具体的な仕組みやメリット・注意点を紹介しました。

樹脂充てん防爆構造は、小型・軽量かつ高性能で、メリットが大きいことがお分かりいただけたかと思います。

安全な工場経営には、火災や爆発事故のリスクを最小限に抑えるための対策が必要です。

用途や場所に適した防爆構造を検討しましょう。

 

防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。 

特殊防爆構造とは?防爆に関する基礎知識から防爆構造の種類まで

火災や爆発などの事故は、思いもよらない時に思わぬ場所で起こる恐れがあります。

特に、日頃から危険物や化学物質、大規模な機械を使っている工場や作業所では、事故の発生件数も多いです。

そこで、事故を未然に防ぎ、被害を避けるためには、防爆構造が重要となってきます。

本記事では、防爆構造の必要性や法的規制等について説明していきます。

「防爆」という言葉を初めて聞いた方も、工場の安全な経営のために対策を考えている方も、ぜひ参考にしてください。

 

 

防爆構造とは

防爆構造とは、爆発・火災を防ぐために、電気機器に施す構造を指します。

工場や製造事務所など、電気機器を扱う場所では欠かせない存在です。

ここでは、防爆構造の必要性や種類などを見ていきましょう。

 

必要性

可燃性物質が混在する空気中で、電気機器を使用すると、火災や事故のリスクがあります。

これは、可燃性物質が一定の温度下で、空気中に高濃度で混じり合う時、引火源を近づけると燃焼する性質があるからです。

可燃性物質の燃焼が広がり温められた空気は、圧力に耐えきれなくなると、建物を破壊する勢いで外に噴出します。

 

都市ガス、プロパンガス、シンナーやガソリンなどは「爆発性ガス」と呼ばれる可燃性物質で、工場や事務所から完全に排除することは困難です。

同時に、燃焼する際に必要な空気も、取り除く訳にはいきません。

そこで、工場や事務所などでは、電気火花など着火源となりうる電気機器に防爆構造を施すことが義務付けられています。

 

法的規則

日本では、労働安全衛生法や電気事業法、消防法などにより、防爆構造の適用が義務付けられています。

電気設備を防爆構造としなくてはならない範囲は以下の通りです。

 

電気設備を防爆構造としなくてはならない範囲

  • (1)引火点が40度未満の危険物を貯蔵し、または取り扱う場合
  •  
  • (2)引火点が40度以上の危険物であっても、その可燃性液体の引火点以上の状態で貯蔵し、または取り扱う場合
  •  
  • (3)可燃性微粉が著しく浮遊するおそれのある場合

 

 

防爆構造は、発火温度や爆発等級・危険度を考慮して、国内の検定に合格し、認められたものでなければなりません。

日本国内における主な防爆規格として、「工場電気設備防爆指針」と「国際整合防爆指針」が挙げられます。

 

種類

防爆構造は、その仕組みや適用箇所によりいくつかの種類に分類されます。

代表的なものに、容器内の圧力を利用して、外部への引火や爆発性ガスの侵入を避ける、「耐圧防爆構造」や「内圧防爆構造」が存在します

また、着火能力を持つ部分を絶縁油に浸す「油入防爆構造」も有名です。

他には、「安全増防爆構造」「本質安全防爆構造」などがあります。

 

それぞれの危険度に合わせて、使用可能な防爆エリアが異なります。

 

 

特殊防爆構造とは

特殊防爆構造とは、「耐圧防爆構造」「油入防爆構造」「内圧防爆構造」「安全増防爆構造」「本質安全防爆構造」以外の防爆構造を指します。

新しい技術や仕組みの開発により、爆発性ガスの引火を防止できることが公的機関において、試験などを経て確認された防爆構造です。

 

紛体充填防爆構造、樹脂充填防爆構造なども、特殊防爆構造の一種と考えられるでしょう。

特殊防爆構造が施された電気設備は、他の防爆構造と併用されていることが考えられるため、適用可能場所はケースにより様々です。

 

 

用途や危険度に合った防爆構造が重要

いかがでしたでしょうか。

今回は、防爆構造の必要性から法的規制、防爆構造の種類を解説しました。

中でも特殊防爆構造は、今後の技術進歩によりさらに事例が増えることが予想されます。

用途や危険度を考慮した、適切な防爆構造を選びましょう。

 

防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。 

【油入防爆構造とは】爆発のプロセスから設置場所・注意点まで

化学工場や製造事務所では、日常生活では馴染みのない機械や物質を取り扱います。

中には当然、特殊な性質をもち、使用するにあたって専門的な知識が必要なものも多数あります。

そしてそれらを使用する中で事故を発生させないためには、予備知識の習得と万全の対策が肝心です。

そこで本記事では、火災や爆発などの事故を防ぐための防爆構造について説明し、そのうちの一種である「油入防爆構造」を取り上げます。

工場関係者の方や、防爆対策を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

防爆構造とは

防爆構造とはその名の通り、爆発を防ぐための構造・仕組みを指します。

厳密には、可燃性物質の漏洩などにより生じた爆発性雰囲気と着火源の共存を避ける対策のことです。

 

爆発のプロセス

水素やメタン、一酸化炭素などは、それぞれ一定の引火点以上の温度下で、火を近づけると燃焼する「可燃性ガス」です。

ガソリン、石油、メチルアルコールなどの「可燃性液体」も、蒸発し空気中の濃度が高くなると、引火する恐れがあります。

これらの可燃性物質が浮遊する空気中では、火の元の取り扱いに注意が必要です。

特に、電気機器を使用する工場などでは、機械から飛び散った電気火花で着火する危険性があります。

 

可燃性物質に火炎が伝播すると、物質はどんどん燃え上がります。

炎により空気の温度は上昇し、閉鎖空間内の空気には圧がかかります。

この圧力に耐えきれなくなったとき、閉鎖空間は破壊され、外部に向かって空気が噴出される、というのが爆発の仕組みです。

 

工場や作業場において、可燃性物質や空気を取り除くのは不可能でしょう。

そこで、火災や爆発を誘引する着火源を引き離す対策を講じることで、大きな事故を防ぎます。

 

 

油入防爆構造とは

防爆構造は、用いられる場所や安全を保持するためのプロセスによって、様々な種類に分けられます。

ここでは防爆構造の一つ、「油入防爆構造」について紹介します。

 

構造

油入防爆構造とは、電気機器の電気火花や、2つの電極間の気体放電現象を指す「アーク」の発生部分を絶縁油に浸し、油面上に存在する爆発性ガスに引火しないように施した構造です。

着火源となりうる部分を絶縁油に浸すことで、可燃性物質との接触を避けます。

油入防爆構造は、通常運転で着火能力のない電気機器やその部品に用いられるのが一般的です。

 

設置場所

可燃性物質と空気が混合することで引火・爆発の恐れがあるゾーンを、危険場所と呼びます。

全部で3段階ある危険場所のうち、油入防爆構造が用いられるのはゾーン1(第一類危険箇所)とゾーン2(第二類危険箇所)です。

ゾーン1は、爆発性雰囲気をしばしば生成し、集積する可能性のある場所を指します。

またゾーン2は、爆発性雰囲気を生成する可能性が低い場所のことです。

両者において設置可能とされていますが、油の劣化や漏洩時の防爆性が懸念されるため、ゾーン2でのみ使用が推奨されるケースもあります。

 

注意点

油入防爆構造のデメリットは主に2つあります。

1つ目は、保守性が悪いことです。

油入防爆構造では、容器の中に油を入れ、油内に着火能力を有する部分を埋めるため、状態の維持や管理が難しいとされています。

2つ目は、比較的防爆性が弱いことです。

ゾーン1で同様に使用できる本質安全防爆構造や耐圧防爆構造に比べ、安全機能が脆弱と言われ、一つのデメリットと考えられています。

 

 

油入防爆構造で爆発・火災の元を引き離す

いかがでしたでしょうか。

今回は爆発のプロセスを紹介し、防爆構造の一つである「油入防爆構造」の仕組み・特徴を解説しました。

爆発の仕組みを理解し、適切な対策を講じる上での参考になりましたでしょうか。

工場や事務所の安全な運営には、事故を未然に防ぐための徹底的な対策が欠かせません。

場所や用途に合った防爆対策を講じましょう。

 

防爆工事でお悩みの方は防爆工事.comへご相談ください。