消防法の規制を受ける量の危険物を取り扱っている事業所、工場等は「危険物施設」とみなされます。
危険物施設は、その目的などにより製造所・貯蔵所・取扱所の3つに分類されています。
これらの施設においては、法令を遵守し、火災の予防に努めなければなりません。
危険物施設と聞くと、爆薬を扱う工場、といったようなイメージを持つ方も多いかもしれません。
事実、ロケットの燃料や花火の火薬などに含まれる物質は危険物の一種ですが、ガソリンや灯油も該当します。
そう考えると、意外と身近なところにもありそうですよね。
今回は、危険物施設のうち「危険物取扱所」のカテゴリについて詳しくご紹介します。
危険物取扱所とはどういったものなのか、具体的にどんな施設が当てはまるのか、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
危険物取扱所の定義と種類
危険物取扱所は、危険物そのものを製造することはないのですが、保管しておくだけでもありません。
これでは、カバー範囲が広すぎる気もしますね。
「ある目的のために危険物を使う」と言い換えるとわかりやすいかもしれません。
例えば、危険物を原料として用い、最終的に生産されるものが非危険物である場合は、危険物取扱所となります。
また、産業機械などを動かすため、金属加工のためなどに危険物を所有している事業所も該当します。
危険物取扱所は、さらに4つの種類に分けることができます。
全てに共通して、危険物を取り扱っていることを示す標識を掲げ、適切な消火設備を設けなければなりません。
また、設建物の構造基準が厳しく定められていたり、取り扱える危険物の種類が限定されていたりします。
それぞれの施設については、次項で詳しく解説していきます。
給油取扱所
給油取扱所とは、危険物を車などに給油する目的の施設です。
もっともわかりやすい例はガソリンスタンドです。車に乗っている方は必ず利用する、生活に密着した危険物取扱所です。
私たちが使うお店だけではなく、タクシー会社やバス車庫など、自社で使う車両に給油する設備も該当します。
大きな施設ですと、空港にある飛行機用の給油施設もあります。
給油取扱所は、敷地内に空き地をつくる必要があります。
また、同じ場所に設置可能な建築物も限られているのが特徴です。
販売取扱所
販売取扱所は、その施設で危険物を使用することはありませんが、容器入りの危険物を販売する目的で扱う施設です。
一斗缶に入ったような業務用塗料を販売するお店や、オイルなどを置いているカー用品専門店などが挙げられます。
危険物は1階でのみ取り扱うことができます。
また、お客さんが持ってきた入れ物に移し替えるなどして売ることはできません。
移送取扱所
移送取扱所は、配管などを通して危険物を運ぶ施設です。
危険物施設全体に占める割合は非常に少なく、広く知られているとは言えないでしょう。
例えば、パイプを通して船舶に重油を供給する設備などが当てはまります。
一般取扱所
一般取扱所は、上記3つの定義に当てはまらない施設全てを指します。
燃料として危険物を使うボイラー室は、工場や病院、ビルやホテルなどさまざまな施設に設置されています。
また、塗装や印刷の目的で危険物を取り扱う事業所や、危険物をタンクに詰め替える施設もこれに該当します。
多くの一般取扱所は、第4類危険物の一部のみ、量を限って取り扱いを認められています。
さまざまな場所に存在する危険物取扱所
いかがでしたか。
今回は、危険物取扱所の種類やそれぞれの特徴についてご紹介しました。
意外と身近なところにも、危険物を取り扱う施設があることを知っていただけたのではないでしょうか。
この記事が、危険物について詳しく知りたいという方の参考になりましたら幸いです。